2001年2月  Back

 Big Two-Hearted River 2/28

 ヘミングウェイの初期の作品に「二つの心臓の大きな川」という傑作短編がある。
先月末この短編のタイトルを冠した「Big Two-Hearted River」というブランドのケーン・ロッド作っている盛岡のビルダーを訪ね、幾本かのロッドを試し振りさせて頂く機会があった。作者の温和な人柄がそのまま表現されたかなようなロッド。結局工房で一番スローな「7'3" #3」を基準にし「7' #3」に変更、アクションももう少しスロー気味に変更をお願いしオーダーした。

 今週出先での時間調整の為にめったに買わない「BE−PAL」を買い車の中で読んでいたら、ブルックトラウトの紹介の中に「二つの心臓の大きな川」に関することが書かれているページを見つけた。 ヘミングウェイが友人と実際に釣った川は、「Two-Hearted River」ではなく、「Fox River」だという事は本のあとがきで知っていたが、BE−PALには対象魚がブルックであったエピソードが書かれてあった。
 
 何という偶然。今回私が「Big Two-Hearted River」にお願いしたロッドは、奥日光・湯川でブルックと遊ぶ事を想定してお願いしたもの、今回の偶然が嬉しくなってしまう。

 邦題が何故か「二つの心臓の大きな川」となっているが、「明と暗、生と死」相反するものが「Two-Hearted」の意味と理解している私には適切な邦題ではない気がしてならない。

 これでも書店 2/14

 私が移り住んだ時には、この町に書店が三ヶ所あった。書店としての独立店が二ヶ所と、何故かホームセンター内に、コンビニの雑誌コーナーより少しまともな売り場が設けられていた。その後一ヶ所が閉鎖し、ホームセンターも閉鎖となり、ついに一店の書店になってしまった。
 問題はこの残った一店だが、先日小説を物色しに出かけた所なんと小説が全く置かれていない。ハードカバーはもちろん新書版、文庫本まで小説の名の付くものは全く無くなってしまった。週刊誌と雑誌、コンビニとのちがいは、圧倒的なコミック類の多さだだ。売り場は最近流行のレンタルビデオとの合併店だったが、小説を排除し出来た空間にはTVゲームのソフトのオンパレードになってしまった。

 独立した図書館をもたない、地方の小さな町。
書店もこんなありさまの中で、町のキャッチコピー「文化のふるさと」が妙に白々しい。

 私の知らない世界 2/8

 昨日はあやこさんの誕生日だった。 あまり外食を好まない私達だが、珍しくいわゆるイタメシ屋に出かけた。
ゆっくり食事をしながら今までの思い出、これからの夢と久しぶりに日常会話以外の話をした感じがする。
「さいきんのmorioさんの中に私の知らない世界が多くなってしまった。」 とポツリと彼女が言う。

 ネットにサイトを公開しまもなく三年、昨年辺りから私の生活に少しばかり変化が見られ始めた。仲間とのオフ会、取材、HPコンテストの受賞、そしてラジオの出演。とくにラジオは毎週土曜日は朝から出かけ、戻るのは夕方になってしまい、彼女から見れば週休一日に戻ってしまったようだろう。昨年後半から一時の不況が嘘のように私の本業も忙しさを取り戻している。
私にしてみれば新しい出会いと、嬉しい感動をオフ会やラジオで味わうことが出来たり、仕事の新しい展開もあり充実した日々を過ごしてきた。特に隠し事もせずに、その時得た感動を逐一彼女に話してきたつもりだった。
意識していないうちに、自分の世界にカーテンを下ろし初めてしまったのだろうか?

 久しぶりに見た彼女の涙。
店を出ると出かける時降り始めていた雪で、辺り一面真っ白な世界になっていた。
結婚して32年、彼女の誕生日が雪だったのは始めての出来事だ。

 純愛小説 2/3

 ハードボイルドや冒険小説の好きな私が「純愛小説」といわれるものを読み始めている。 昨年前期のベストセラー「朗読者」、そして今読んでいるのが「ぼくの美しい人だから」。この二冊はある部分で共通している箇所がある。朗読者は15才の少年と31才の女性の組み合わせ、後者は27才のコピーライターと41才の女性の組み合わせだ。意識してこの二冊を選んだわけではないが、不思議な男女の組み合わせの二冊を選んでしまったものだ。
 
 昨年から仕事で数日ホテルに滞在することが多くなった。ホテルで一人過ごす数日が私に異変を起こしてしまうのか、「朗読者」、そして「ぼくの美しい人だから」、どちらも旅先で無性に読みたくなって選んだ本だ。



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